私たち日本人は木や土をはじめとして、身近にある植物を原料に和紙を漉いたり畳を編むなど、自然に寄り添いながら暮らしてきました。
『徒然草』でも「家のつくりようは、夏を旨とすべし」と書かれていますが、日本の気候風土にあった家とは木材を組み上げた軽やかな構造をベースに、明かり障子や襖などの木製建具を開け閉めすることで、風や光を取り入れるというものでした。
木なしには日本の家づくりは成り立たず、私たちには国土の7割を占める森林とともに歩んできた歴史があるのです。
■日本の家から「本物の木」が消えつつある
しかし現在では無垢の木を使った家づくりは、少数派になってしまいました。
というのも、大量の住宅建設が必要となった戦後に、石・紙・土などの自然素材に替わって「新建材」が登場したからです。プラスチックや塩化ビニル、ポリエステルなどの工場で大量生産された新建材は、安価で工事手間もかんたん。あっという間に市場を席巻します。
無垢材が、単一の木から切り出した板そのものであるのに対し、「新建材」は基材の表面に天然木の薄板や木目調のプリントをした樹脂シートを張り付けたもの。見た目は同じに見えても、中身がまったく違うのです。
(一般的な複合フローリングの例|朝日ウッドテック)
■木の良さを見直してみませんか?
木には調湿性能があり、湿度の高い時期には室内の湿気を吸い、乾燥しがちな時期には放湿し、室内をここちよい環境に整えてくれるという特徴があります。
樹種にもよりますが、日差しを浴びているうちに紫外線の影響で、美しい飴色を帯びていくのも木の家ならではの楽しみです。
無垢の木材は長年使っていると乾燥で収縮し、床板の間にわずかな隙間が生じることもありますが、それでも適切に乾燥を施した床材は新建材よりも長寿命。
細かな傷がついても、たいていは濡れ布巾を充てておけば、一晩で凹みが目立たなくなります。(無垢材を内装に使うメリット・デメリット→http://tnk-reform.com/blog/14531)
■無垢のフローリングで自分らしい住まいを
また何と言っても無垢材の良さは、肌触りのよさやあたたかみ。断熱性に富むので厚みのあるフローリング材を使うと、冬でも裸足で過ごすという方もいるほどです。
特に杉はやわらかく、厚い杉板を床に使うとキッチンに立っているだけでも疲れにくさがまったく違ってきます。衝撃吸収性もあるので、小さなお子さんやお年寄りもぴったりです。
杉といえば、千葉県中央部の山武地域では、江戸時代より杉の生産に取り組んできた歴史があります。この地域で産出される杉は「山武杉」と呼ばれ、独特の赤みを帯びたあたたかみのある美しい色と木目、強度に定評があります。食べ物のみならず家づくりでも地産地消を実践するのも、時代のニーズに合った考えですね。
インテリアにこだわりたい方は、張り方や加工で個性を出してみてもよいでしょう。
長さが不揃いな材を四方に張る「乱尺張り」や、斜めに張りあげる「斜め張り」に加え、矢羽状に木片を並べたシックで高級感あふれる「ヘリンボーン」も根強い人気です。
表面加工もさまざまで、たとえばスプーンで削ったような模様を施す「スプーンカット」、幾何学的な模様を加味する「ナイフカット」、洗いざらしのコットンのような風合いを出す「ブラッシング」など多彩な表情が楽しめます。
ほか、オイルやワックスなどの塗料により、木目を引き立たせたり色味を調整することができます。
(表面をハンドスクレイプ加工した床材の例|前田木材)
■住まい手とともに育つ家
無垢のフローリング材は、樹種・張り方・表面加工・塗装によって組み合わせは無限大。
同じ樹種でも、産地によっても木目や色みが異なり、さまざまな表情を楽しむことができます。
無垢材は小さな凹みがついたり反ることもありますが、それは欠陥ではなく自然素材ならではの味わいそのもの。住まい手とともに家が育っていく証でもあるのです。
自然素材と上手に付き合いながら、健やかで上質な暮らしを実現してみてはいかがでしょうか。
(文・田村洋子)
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http://tnk-reform.com/blog/14531
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